感想:ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 (ネタバレ含む)

見てきましたよ、「ヱヴァンゲリヲン:破」。(←打ちづらいなあ、エヴァンゲリオンと表記します)

何を書くかは、書きながら考えるから、どうなるかは分からないが、
多分ネタバレを含むので、以下に余白を置いてみる。
























さて、もういいだろうか。

とりあえず、傲慢に点数をつけてみる。
百点満点中、何点なのか。

100点だったら、「期待通りの面白さ」という感じ。
70点だったら、「まあ面白かったよ、DVDも買ってもいいかな」程度。
50点だったら、「なんだ……こんなものか、DVDでいつか見るかもねえ」程度。
「うわ、なんてこった! こんなのアリかよ、予想を超えた!」だったら120点。


で、点数はというと……。

70点。

でしょうか。

つまり、まあ面白かった、という感じですね。

どうして、こんなことになってしまったのか……。
絶対に面白いと、期待しすぎたからでしょうか。
リメイクや漫画のアニメ化などは、予備知識と過剰な期待が、
本編に対する評価を辛くするものです。(あれ、ですます調になってる)
よって、今回のエヴァについても、期待感が評価を曇らせている場合があるでしょう。

では、適当に感想を。

■現代の若者?
新キャラが最初に言う「子供の都合で大人に迷惑かけちゃってるからね」的な発言。
これが良かった。
お、このキャラ、他のヤツらとは違う、と思わせた。
現実に対して過度の逃避から、価値観の固定化に陥った子供という感じが。
台詞で書くと、
「ヤベー、いてえよ。右腕取れちゃってるよ、死ぬ? かもね、壊れちゃうんじゃないの、アタシ? でもなぁ、人生ってそんな感じだし、楽しいし? 痛くて辛くて良い感じの絶望に満たされてるくらいがリアルだよ!」
とか言いそうな……。

痛みに対して「辛いのはいやだ」という90年代のキャラクターに対して、
「辛いな〜、笑っちゃうくらい辛い」と言ってしまう2000年代のキャラクター。
現実を肯定しての発言ではなくて、逃避を通り越して客観的主観を手に入れている。
(実際は主観的客観だが)
あまりに痛みを感じるから、それを虚構だと、嘘偽りだと判断する。
そして、その痛みを感じている状態を喜劇に変換し、
さらに喜劇の主人公である自分を客席から見て、囃し立てる。
「おいおい! もうすぐ死んじゃうぞ、どうする自分!」
という観客の野次に対して、
暴力的に自身を傷つけることで、一層喜劇を盛り上げる。
そうすることで、自身の個性と存在理由を獲得できるから。
(存在理由ねえ…うさんくさい言葉だこと)

まー、これでこのキャラが新しい転校生としてクラスに入ってきて、
シンジに猛烈お色気アプローチをして、それに対してアスカとレイがやきもきする、
という構図だったら良かったんだけど……結局、頭の弱い子な印象だった。

結局、物語の中で絆が描かれていないキャラは脇役なんだよね。
新キャラは誰とも絆を築いていなかったから、見ているオレとしては、
滑稽以上のなにものでもなかった。
ピエロにはピエロなりの描き方があると思うんだけど、
次回作のためか、今回は良くない。
勘違いして舞台にあがっちゃった観客、という感じだった。

落下傘で現れて、その後ミニスカ尻振りシーンは、
視線がおしりに行ってしまう自分が面白かった。
心の中ではエロくないなー、とか思ってるのに、ままならない身体よ。

ていうか、今回はサービスシーンが多くて、ノイズだったなあ。


■サービスシーン
ノイズ。
エロい! と喜べる人にとっては良いアニメだったのかも。
でも、オレにとってはノイズ。
ハーメルンのバイオリン弾きに於ける、終盤の激闘で挿入されるギャグと同じ。

アニメなんて自我の塊だが、エロスは別次元の自我な気がする。
「お前の演出、すげえ面白い!」と喜んでいたのに、
「お前のエロに対するこだわりなんて、今は聞きたくないよ!」という反発。

エロいシーンが入ると、急に制作者が人間であることを意識するんだよ。


■走れエヴァ3機
宇宙から降ってくる使徒を受け止めるために走る3機。
ここ最高。
もう、最高!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ってくらいに最高。
そう、最高!!!!……まあ、いいや。
何がすばらしいって?
まずは作画。
躍動感、ありえない。
そこにエヴァンゲリオンがいる、という錯覚。
普段は鬱々としているシンジが、エヴァに乗っているとはじける開放感。
いずれ袂を分かつ3人が、一つの目的のために一所懸命になる眩しさ、素敵さ。


このシーンを見に行ったといっても過言ではない。


■跳べアスカ
アスカ初登場シーン。
2号機のバトル。
この使徒のデザインは「ぼくらの」の作者の人ですかね。
ちょっと異質だったような。
あさりよしとお」っぽくはなかった。

いやあ、アスカ、アグレッシブ。
さすがパッション担当。
イナヅマキックが飛び出たのも、グッジョブです。

アスカの元気の良さが表現されていて、嬉しくなりました。


■童謡
悲劇的なシーンで挿入される童謡。
これ、飽きました。

悲劇的であればあるほど明るい曲を流すべし。
この方法論を既にカヲルくんの死で知ってしまったから、
パロディにしか感じられなかった。

もっと新しい方法論を期待していました。


■アスカ、死亡フラグ
これ、残念でした。


なんていうか、あざといですよね。
苦笑しちゃう感じ。
でも、それってアスカがダミープラグに浸食される事前情報があるからですよね。

あざといのはいいけど、もはや古典的手法なのが良くない。
ここも感情移入できず、制作者の顔が見えてしまった。

もっと良い描き方はなかったものか。


エヴァエヴァ
とはいっても、トウジではなくアスカが浸食されたのは良かった。
これによって、シンジとアスカの繋がりが発生した気がする。
テレビ版ではいつの間にか崩壊していたアスカが、
今回はシンジによって積極的に崩壊させられたので、罪悪感があるはずだ。

ちなみに作画的には、
アクション濃度が足りなくて、
「ここはもっと実力が拮抗するべきだと!」
と考えてました。


■最後のヤリ
まあ、ここら辺で感想をやめますが、
最後のヤリは無いですな。
テレビ版を見た人にとっては、ある程度楽しめるかも知らんが、
作品としての完成度を著しくさげたんじゃないか。



■全体通して

多分、今回の評価が低かったのは、
オレがシンジくんに感情移入できず、客観的にしか見れなかったからかも知らん。
昔は、トラウマを持った自分、という状況に憧れてたと思う。
でも、今は自分にトラウマなんて無いことを知っている。
だから、シンジくんに感情移入はできない。

彼は、アニメのキャラクターだ。
ということ。