ゲーム:MOON
最近プレイしたわけでもありませんが、職業柄、物思うときがあるのです。
そして、現在抱えている題材から鑑みて、MOONとは良く出来たゲームであったなあ、
と今更ながらに思いました。
アスキーより発売された本作は、ジャンルを「リミテッドRPG」と銘打っていたように思われます。
ゲームを購入した当時は、リミックスと単語の意味を混同しており、
更にリミックスの意味も良く分かっていなかったので、
「なにやら新しいRPGのジャンルらしいなあ」との漠とした認識でした。
その後、年齢が上がるにつれ、考察するようになって、リミテッドとは「限定」の意味であり、MOONで言えば「普通のRPGに比べて状況が限定されている」ということなのかしらん?と考えたものです。
そして、今再び考察するに、MOONで言うところの「限定」とは、
「行動の限定」であるように思われます。
RPGに於ける、もっとも頻繁に発生する「行動」とは何か?
戦闘、あるいは会話でしょうか?
そうではなく「移動」であると私は常々考えています。
RPGの大半の時間は「移動」に費やされていると言っても過言ではないでしょう。
言い換えれば、大半の時間を「無駄」に使用していることになる。
(これはモンスターハンターに於いても同様で、一度倒れると、再びモンスターのもとまで移動するのが非常に厄介かつ煩わしくあります)
私がRPGをプレイしながら、いつも頭の片隅でそわそわしてしまうのは、
この無駄を意識しているから、人生に対する申し訳なさと言う感じです。
とりわけ、年齢を経るに従って、この傾向は強くなっています。
話を戻しますと、MOONの「限定」とは「行動の限定」であります。
そして、開発者が見つけ出した答えとして「RPGの行動とは移動である、MOONのような前衛的な(大作でない)RPGでは資源に限りがある、よって、資源をより有効活用するためには移動を限定することで、世界を知る過程を引き延ばす必要がある」
という考えがあるのではないでしょうか。
(単に箱庭的RPGが造りたかっただけかも知れません)
そして、MOONの更に優れている点は「行動=移動」から発展して、
「行動=移動=時間」という次の段階を発見したことにあります。
すなわち、MOONは移動の制限を達成するために、
「時間の制限」をシステムに加えたのです。
この「時間の制限」は劇的でした。
時間=ライフというゲームの世界観を際だたせただけでなく、
ゲーム内の世界に「1週間」という仮想時間を盛り込むきっかけとなったように思えます。
今思えば、MOONはRPGというよりはADVの形式に近いように思えます。
ゼルダの伝説とマリオが今では同じジャンルに融合されたのと同様に、
一つのジャンルを突き詰めて考えることで、違うジャンルと等しくなっていく、
この過程は、まさしくジャンルの解体と呼べるもので、真に尊敬すべき境地であるように思われます。